リッツ・カールトンホテルの経営理念

リッツ・カールトンホテルの企業理念「ゴールドスタンダード」

リッツ・カールトンホテルの経営理念は、ホテルの理念や価値観が結集された企業理念『ゴールドスタンダード』でとりまとめられています。

全従業員がクレドカードを常備して、常に確認できるようにしています。

クレド

リッツカールトンクレドカード

リッツ・カールトンは「お客様への心のこもったおもてなしと快適さを提供すること」をもっとも大切な使命とこころえています。

私たちは、お客様に心あたたまる、くつろいだ、そして洗練された雰囲気を常にお楽しみいただくために最高のパーソナル・サービスと施設を提供することをお約束します。

リッツ・カールトンでお客様が経験されるもの、それは感覚を満たすここちよさ、満ち足りた幸福感そしてお客様が言葉にされない願望やニーズをも先読みしておこたえするサービスの心です。

モットー

ザ・リッツ・カールトンホテルカンパニーL.L.C.では「紳士淑女をおもてなしする私たちもまた紳士淑女です」をモットーとしています。

この言葉には、すべてのスタッフが常に最高レベルのサービスを提供するという当ホテルの姿勢が表れています。

サービスの3ステップ

1.あたたかい、心からのごあいさつを。
2.お客様をお名前でお呼びします。一人一人のお客様のニーズを先読みし、おこたえします。
3.感じのよいお見送りを。さようならのごあいさつは心をこめて。お客様のお名前をそえます。

サービスバリューズ(あり方)

私は、リッツ・カールトンの一員であることを誇りに思います。
私は、強い人間関係を築き、生涯のリッツ・カールトン・ゲストを獲得します。
私は、お客様の願望やニーズには、言葉にされるものも、されないものも、常におこたえします。
私には、ユニークな、思い出に残る、パーソナルな経験をお客様にもたらすため、エンパワーメントが与えられています。
私は、「成功への要因」を達成し、ザ・リッツ・カールトン・ミスティークを作るという自分の役割を理解します。
私は、お客様のザ・リッツ・カールトンでの経験にイノベーション(革新)をもたらし、よりよいものにする機会を常に求めます。
私は、お客様の問題を自分のものとして受け止め、直ちに解決します。
私は、お客様や従業員同士のニーズを満たすよう、チームワークとラテラル・サービスを実践する職場環境を築きます。
私には、絶えず学び、成長する機会があります。
私は、自分に関係する仕事のプランニングに参画します。
私は、自分のプロフェッショナルな身だしなみ、言葉づかい、ふるまいに誇りを持ちます。
私は、お客様、職場の仲間、そして会社の機密情報および資産について、プライバシーとセキュリティを守ります。
私には、妥協のない清潔さを保ち、安全で事故のない環境を築く責任があります。

リッツ・カールトンホテルの経営理念の運用方法

リッツ・カールトンの「ゴールド・スタンダード」は、ただ執務室の壁に貼られていたり、ホームページに掲載されていたりするのではなく、繰り返し社員の頭に入るような仕組みが確立されています。

・入社後のオリエンテーションでは必ず「ゴールド・スタンダード」の中身を徹底的に説明し、社員への期待を明確にする。

・スタッフ一人一人が「ゴールド・スタンダード」が印刷されたカードを胸元にしまっている。行動に迷ったときに、必ず見返せるようにしている。

・毎シフトの始まりに、「ゴールド・スタンダード」の読み合わせを行っている。

・リッツ・カールトンでは、新入社員の感性の高さや向上心などを見極め、それを伸ばしていく職場環境を全社的に整えています。二十代前半から三十代前半までの、従業員の感性が一番鋭い勝負時に、創造性を発揮させる機会(例:セクションの枠を超えた問題解決サークル、企画商品の社内コンペ、社会福祉活動など)をどんどん生み出し、挑戦させています。

・スタッフがお客様のために、決済を通さずに自由に使える$2,000が与えられています。$2,000は高額すぎると考える方が多いかもしれませんが、シュルツ曰く、平均的なビジネストラベラーは宿泊に一生涯で$100,000使うとのこと。その方に感動体験を与えて、繰り返しリッツ・カールトンを選んでいただけるのであれば、$2,000なんて安いという考えです。

・マネージャーはミーティング時に、素晴らしい行動を社員からヒアリングし、その場で褒めています。また“Lightning Strikes”という制度があり、素晴らしい行動をとった従業員に$50が即座に振り込まれる仕組みがあります。

・また、マネージャーは常に「あなたはゴールド・スタンダードのこの部分について、メンバーにどのように話していますか?」という質問を上級マネージャーからされるそうです。自分自身が常にクレドと向き合い探求を進め、自分の言葉で話せるようにしておくことが、マネージメント層の成長にもつながっているのです。

・社員が「ゴールド・スタンダード」についてオープンに議論し、フィードバックする場が設けられています。そのため、「ゴールド・スタンダード」はただ自分たちに言い渡されたものではなく、所有感を持ち、改善していくチャンスをつくっています。

出典:Schulze, Horst.,『Excellence Wins.』,Zondervan
出典:高野登,『 リッツ・カールトンが大切にするサービスを超える瞬間 (Japanese Edition)』,かんき出版

リッツ・カールトンホテルの経営理念の考察

企業としてのフィロソフィーを開示するだけではなく、日常的に何を意識し、どのような行動をとるべきか?ということまでクリアに提示されているため、従業員がどうあるべきか、何が求められているか、自分がどのように評価されるかが明確に分かります。

行動への落とし込みを重視しています。

「自分たちは、サービス業界の陰で働く使い人ではなく、自分たちの力で、自分たちの存在価値を高めることができる」