東京オリンピック2020 サッカー日本代表対スペイン戦を見ての感想 「サッカー日本代表の現在地」

サッカー日本代表が、国際大会で初めての決勝進出を賭けた大一番。

日本の至宝の久保にとっては育ての国スペインとの因縁の戦い。

久保が自分の実力をスペインにアピールし、飛躍するきっかけにできる最高の舞台。

久保は、試合前にこう語っていた。

「グループリーグが始まる時から順当にいけば準決勝はスペインだろうと思っていた。150%で死ぬ気でやりたい。簡単な相手はいないけど、勝てない相手はいない。この試合では俺が俺がという強い気持ちで、俺がチームを勝たせるという気持ちで、ちょっとビッグマウスになろうかなと思う」。

謙虚な久保が、いつもは内に秘める闘志を、この試合には前面に打ち出してきました。

それほど、久保はこの一戦の重要性を理解し、覚悟を決めていた。

日本の至宝久保の飛躍が、日本代表が国際大会でベスト16の壁を突破し、世界のトップ10の強豪国入りする飛躍にも繋がる。

日本サッカー界の新しい歴史を開く一戦になるかもしれない。

1990年代より日本サッカーと共に歩み、その過程を見てきた私は、日本の新しい歴史的瞬間が見れるかもしれないと、とても期待していた。

分厚かった世界との壁

試合は、予想を上回るクオリティーの高さ、選手の気持ちと技術力の高さがぶつかり合う激闘だった。

イタリアのミラノダービー、イタリアダービー、スペインのクラシコなど、強度の高い試合はこれまでにもたくさん見てきました。

しかし、今回の日本代表とスペイン代表の試合は、華やかなプレーなど一切なく、勝利のために堅実なプレーでぶつかり合う強度の高さは、クラブチームレベルのものとは違う、別物でした。

スペイン代表のボール保持するポゼッションの高さは世界トップクラスです。

瞬時に判断してスペースを作るポジショニングの動きや早いパス回し、正確なトラップ。

イタリアやスペインといった本来、楽天的な性格を持つ人種の人たちが、プロサッカー選手は正確無比なマシーンとなり、極限まで闘志とプレーの質を高め、芸術的なサッカーを創り上げていきます。

そこには、プロの厳しい競争環境の中で、世界トッププレーヤーのスーパープレーに刺激を受け、練習に練習を重ね、プロ意識や技術力を極限まで高め、そこにアイデア(閃き)を加えて、厳しいプロの中でも勝ち残るべく日々自分の限界に挑戦している背景の違いを感じざるを得ませんでした。

サッカー解説者が日本と世界の強豪国とを比較して「ちょっとした違いなんですけどね。」と敗戦後によくいいます。

確かに、日本選手もTVやインターネットなどで世界のトッププレーヤーのプレーを見ることができるようになり、技術力も高まり、海外の厳しい環境も経験し、選手の実力は格段に高まっています。

世界の強豪国とも、ひとりひとりの個の能力もそれほど差は感じなくなりました。

しかし、国際試合の本番では、強豪国に勝てない壁。

そこには、80点と90点の大きな距離の差が依然としてありました。

世界最高峰のリーグでもまれているスペインの選手たちの平均レベルは間違いなく世界トップクラスで、勝利への意識や基本能力は非常に高いものがありました。

しかし、試合後半や延長線などではさすがに疲労し、プレイに緩みも多少見受けられるシーンもありました。

また、今回のスペイン代表はゴールを決める最後のくずしの力やFWの決定力不足などもあり、100点から10点マイナスの90点レベルという印象です。

日本人選手も地元日本での五輪開催で、闘志も最高レベル、技術力も高いレベルの選手が多く、日本最高の五輪チームと言われ、70点〜80点レベルではありました。

しかし、世界の強豪国スペインとの差のひとつは、決定力の違いでした。

試合を決めてやるという気概を持った世界の強豪レアル・マドリーに所属するマルコ・アセンシオが途中出場し、最終的に試合を決めていきました。

私の大好きなクラブチームバルセロナやアトレティコ・マドリーもレアル・マドリーとの大事な一戦で、何度かこのマルコ・アセンシオに全く同じ位置から同じ形のゴールを何度か決められたことがありました。

トップ・オブ・トップの選手は、厳しい戦いでも結果を出す自分の型を持っています。

わかってはいるけど、止められない。決められてしまう。

その決定力を持つのが、世界最高峰のトッププレーヤーです。

80点から90点、90点から100点へ。

このトップの頂きに近づくにつれ、そのレベルを上げていくところに大きな努力や時間が必要となります。

世界最高のプレーヤーのメッシもアルゼンチン代表では、チャンピオンになるのに多大な時間や労力がかかりました。

全てをぶつけて挑戦したものの、サッカー大国スペインの壁の厚さ、力の違いを感じた久保の心の声がその壁の厚さを表現していました。

「何もないですね。涙も出てこない」

お互いの実力を出し切り、日本の至宝の久保や日本代表の現在地を知ることができ、サッカーの深みを味わえるとても良い一戦でした。

世界の頂点への道

日本も70点から80点、世界ランクで10位〜20位あたりにはポジションするレベルになってきました。

Jリーグが開幕した25年程前は、世界のトップになるビジョンも戦略も見えませんでしたが、今はその道筋も見えてきました。

・仲間と共に気迫を高めていく。

・仲間との連携プレーで可能性を引き出す。

・技術力、決定力でとどめをさす。

中田英寿がローマ時代にリーグ優勝をかけたユベントスとの一戦で決めたミドルシュート

中村俊輔がセルティック時代にチャンピオンズリーグのマンチェスター・ユナイテッドとの重要な一戦で決めたフリーキック

岡崎慎司のひたむきに戦う姿勢で生み出すゴール

沢山の先達の挑戦で、日本人でも世界の強豪に勝つ、頂点への道は見えてきました。

久保にはぜひこの壁を突き破って、日本を国際大会でベスト3に入る強豪国へと牽引してもらいたいと願います。

日本がトップ10以内のサッカー強豪国に変革するのが楽しみです。

その第一歩となるのが、次戦メキシコ戦。

ベストを尽くしてもらいたい。

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コンサルタント&講師専門のビジネスプロデューサー。早稲田大学商学部卒業後、経営戦略コンサルティングファームにて、大手自動車メーカー、大手百貨店、中古車流通、ソーシャルメディアマーケティング分野等の各業界ナンバーワン企業の経営改革プロジェクトを推進。 現在は「新しい教育を通じて社会を豊かにしていく」ミッションに基づき、有力なコンサルタントや講師のコンテンツマーケティングやビジネスモデル構築のプロデュースを手がける。

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