天木塾第三回開催レポート(2018.11.07)

天木塾第三回天木直人鈴木宣弘TPP講演セミナー

天木塾第三回では、農業経済学の第一人者として、TPP(環太平洋経済連携協定)の危険性について発信し続けている鈴木宣弘氏に講演を行って頂きました。

鈴木宣弘氏プロフィール

東京大学大学院 農学国際専攻教授
三重県志摩市出身。東京大学農学部卒。農林水産省入省。九州大学農学部助教授、教授を経て、2006年9月から東京大学大学院農学生命科学研究科教授。夏季はコーネル大学客員教授。1995年東京大学農学博士。博士論文は「生乳市場の不完全競争の実証分析」。国際学会誌Agribusiness編集委員長。

著書

「亡国の漁業権開放:協同組合と資源・地域・国境の崩壊」(筑摩書房2017年)
「牛乳が食卓から消える?酪農危機をチャンスに変える」(筑摩書房2016年)
「悪夢の食卓 TPP批准・農協解体がもたらす未来」(角川書店2016年)
「食の戦争」(文藝春秋2013年)
「食の未来に向けて」(筑摩書房2010年)他多数

国民の命を守るための食料が危機にさらされている

「今だけ、金だけ、自分だけ」の3だけ主義で自己保身・私腹を肥やす一部の人達が、露骨な利益相反を繰り返し、日本をアメリカに売り渡し、国力を弱体化させて、国民を苦しめています。

無知な国民、無力な国民はこうした不正な政治が行われている中にあっても何も言わず、この不正な政治を許容し野放しにしてしまっています。

日本はどんどん悪い方向に弱体化し,まさに泥舟状態で進んでいる状況にあります。

日本の問題点、我々国民にとっても非常に重要な内容も、マクロとミクロでしっかり勉強することで、その問題を理解し気づくことができます。

今回の鈴木氏から輸入食料の問題、その問題をどんどん悪化させている政治の問題など教えて頂き、非常に問題意識を持つきっかけとなり、大事な内容でしたので、要点をシェアしたいと思います。

安い食べ物は最終的に高くつく

輸入食品は表面的に安くても、食品衛生法違反なものが多く、大変健康リスクが高い食品でもあります。

米国やオーストラリアの牛肉や豚肉を食べ続けることは極めて健康リスクが高い。米国では牛の飼育のために女性ホルモンのエストロゲンなどが投与されている。これは発がん性があるとして、EUでは国内での使用も輸入も禁止されている。実際、EUでは米国産牛肉の輸入を禁止してから7年間(1989年〜2006年)で、乳がんによる死亡率が大きく下がったというデータもある。日本では国内使用は認可されていないが、輸入は許可されているため国内に入ってきている。

貿易自由化によって関税が下がれば、さらに安い農林水産物が入ってくるから、例えば牛丼や豚丼は安くなる。しかし、O157をはじめ様々に汚染された食品が山のように検疫で摘発されているが、水際での検査率はわずか7%だから、大半は検疫をすり抜けている。日本の消費者が安さを求めるから輸入業者が現地に徹底した低価格での納入を無理強いする。現地は安全性のコストを切り詰めてしまう。気づいたら安全性のコストを極限まで切り詰めた輸入農水産物に依存して国民の健康が蝕まれていく。

安倍政権は経産省政権なので自分たちが所管する自動車の追加関税は絶対に阻止したい。代わりに農業が犠牲になっている。関税撤廃し自由貿易化。自由貿易とは米国が自由にもうけられる貿易である。

「今だけ、金だけ、自分だけ」の3だけ主義で自己保身・私腹を肥やす一部の人達が、企業、政治、メディア、研究者が利権で結ばれて一体化する。これが規制改革、自由貿易の本質である。

国民は学び、賢くなり、自分たちの生活を守るべき

スイスでは、国産卵は一個60円〜80円するそうです。国産卵が輸入品の何倍もの値段であっても、国産卵の方が売れているそうです。

国産卵を買っていた小学生くらいの女の子はこう言ったそうです。

「これを買うことで生産者に皆さんの生活も支えられ、そのおかげで私達の生活も成り立つのだから当たり前でしょう」と、いとも簡単に答えたそうです。

スイスでは、ナチュラル、オーガニック、アニマル・ウェルフェア(動物福祉)、バイオダイバーシティ(生物多様性)、美しい景観など大事にすべき価値観が共有され、そうした価値観が込められた国産の農作物を消費者が購入し生産者を支えていくという社会システムが作られています。

日本人は低所得層が増えていることもあり、低価格なものを購入しがちです。

しかし、健康こそ生活の基盤です。

健康リスクの高いものを食べることで、ガン患者が増えたり、メンタル疾患が増えています。

世界幸福度ランキングでは、日本は54位という低ランクです。

一人当り労働生産性もOECD加盟国中22位でG7では最下位です。

日本人の強みであった勤勉さは失われ、同じアジアの中国・韓国、新興国などが必死になって勉強し働いている中、日本はどんどん追い越されてしまっています。

世界2位の経済大国という成功体験はもはや昔の話です。

現在の日本は、急速に国力が低下しています。

国民ひとりひとりの生産性(力)も世界的にかなり下位に低落している状況を知るべきです。

その一因として、食・健康のあり方についても認識する必要性を感じました。

国民は学び、賢くなり、自分たちの生活を守るべき

世界視野などのマクロな視点から見ると、日本の問題は明らかです。

危険な食料輸入問題を許していたり、国内農業保護政策が骨抜きにされているのは、世界的に見ても日本は非常に危険水準にあります。

目の前の表面的なものしか見ていないと大局的な問題に気づかず、どんどんリスクを抱え、国も国民の生活もますます悪い方向に進んでいってしまいます。

日本はなんと無知で低レベルな国になっているのだろうと感じずにいられません。

勤勉さといった日本人の美徳や強みや誇りが失われ、欧米志向に洗脳され、骨抜きにされつつあります。

1945年、第二次世界大戦で敗戦し、アメリカによる日本の植民地化政策が、現在も目に見えづらい形でどんどん日本人を弱らせ、じわじわと国力を削ぎ落としている状況があります。

国民はこの現状を知り、問題意識を持ち、変えていく努力をしていく必要があります。

まずはしっかり学び、賢くなることが大事です。

スーパーなどの安い食品を買ったり、安い飲食店で飲み食いしている目先の快楽は、将来の健康リスクを抱えていることを認識する必要があります。

物事を知った上で、どう判断するかは、人それぞれです。

無知なまま行動し問題を抱え、破滅していくのは愚民といわざるを得ません。

日本を創ってきた先達の強さを継承し新しい日本を創っていくのが我々の使命

今回の天木塾の第三回は、会場は立川で行いましたが、立川までわざわざ足を運び学ぼうという意識の高い参加者の方達にもとても刺激を受けました。

60代や70代など年配の方が多かったのですが、強い日本を創ってきた強い人達は男女問わず、顔つきやオーラに強さが漂っています。

気骨があるというのでしょうか。

ある種、香りがするという表現もできるかもしれません。

こうした社会問題を共有したり、またその状況下でどう判断すべきかという新しい教育が非常に大事になってきています。

鈴木氏も「メディアなどはこうした正しい情報を発信しないので、本物の情報を有志が情報発信する情報戦略が重要だとおっしゃっています。

また、意識の高い人達が草の根で学び情報共有しながら、行動していくことも大事だと草の根ネットワークで学び行動していく重要性も訴えていました。

私も少しでも何か役に立てればと思い、このレポートを通じて情報共有できればと思います。

鈴木氏は最後にこうも語っておられました。

国民を欺き、犠牲にして、日米のオトモダチ企業と我が身を守ろうとするリーダーにリーダーの資格はない。我が身を犠牲にしても国民を守ってこそリーダーである

今の日本では、自己や組織の目先の利益、保身、責任逃れが行動原理に見えることが多いが、それは日本全体が泥舟に乗って沈んでいくことなのだということをいま一度肝に命じるべきである。

いくつになっても責任回避や自己保身をいつまでも求めていく人生は楽しいのだろうか。

自分の生涯は、人々のために我が身を犠牲にする気概を持って、全責任を自らが背負う覚悟を明確に表明し、実行すべきではないか。それこそが、実は自らも含めて社会全体を救うことではないか。

鈴木氏のことは、今回の講演で初めて知りましたが、身の危険もあるのでしょうが、自分の保身ではなく、社会を救うために覚悟を持って生きていくべきだという価値観を持って、気骨を持って活動をされているようで、とても美しさ、高潔さを感じました。

リーダーかくあるべしという、リーダー論・品格を持たれた素晴らしい国志でした。

社会問題を研究し、社会を良くしていこうと戦う本物のリーダーとまたひとり出会いました。

気骨のある日本人。

世界に誇れる美しきサムライ。

「利己心を捨てて他人のために誠意を尽くす」「勤勉さ」「団結力」など、こうした日本人の強さの本質はしっかり継承して、我々プロコンのDNAとして活動をしていければと思っています。

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コンサルタント&講師専門のビジネスプロデューサー。早稲田大学商学部卒業後、経営戦略コンサルティングファームにて、大手自動車メーカー、大手百貨店、中古車流通、ソーシャルメディアマーケティング分野等の各業界ナンバーワン企業の経営改革プロジェクトを推進。 現在は「新しい教育を通じて社会を豊かにしていく」ミッションに基づき、有力なコンサルタントや講師のコンテンツマーケティングやビジネスモデル構築のプロデュースを手がける。

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